拉致
 

 翼は辺りを見渡した。乱雑なで薄暗い部屋には見覚えがなく、なぜここにいるのかと考えて、翼は今日の帰り道を思い出した。


小学校から、南葛SCの練習に向かう途中だった。
「君、これからサッカーの練習に行くんだよね」
「うん。そうです。なんですか?」
車に乗った人に話しかけられ、足を止めた翼は次の瞬間、無理やり車に連れ込まれた。
「離してよ!!」
引っ張り込まれた助手席で、翼は暴れる。小柄ではあるが、翼の脚力は並みの小学生の比ではない。
「お前が逃げたら、他の子をさらうぞ。お前の友達にも可愛い子がいたよね」
男の低い呟きに、翼の背が凍る。
「岬くんに近付いたら承知しないぞ!」
「岬くんっていう子がいるのかな?」
特別な友達の優しい笑顔が脳裏に浮かぶ。自分が守らなければ、と必死に男にぶつかった
翼を男の手が抱きこんだ。
「その子に何かされたくなかったら、おとなしくしてろ」
走り出した車の中で、翼は青い顔をして震えていた。そして、そのまま連れて来られたのは、男の部屋だった。

「目が覚めたの?」
男の声で翼は顔を上げる。さらわれた時のままの体操服はどこも異常はない。ランドセルも隣に置かれていた。
「逃げたら岬くんがどうなるか分かっていたみたいだね」
男が話し出す度に、翼は震えそうになる。登下校には気をつけるように、と言われていても男の子の自分に何かが起こるなど、考えたこともなかった。男が現れるまで、この部屋にいるのも現実味がなかった。
「ち、近寄らないで!」
男が優しげに話しながら、時折脅すように声を低くすることも恐怖を煽った。男が何をする気なのかも分からず、翼はランドセルにつかまるようにしゃがみこむ。
「言うことを聞いてくれたら、岬くんには何もしないよ」
「本当に?」
離れた位置から呼びかける男に、翼が細い声で尋ねる。現実感がなく、悪夢のように足元が落ち着かない感覚の中で、岬、の名前でかろうじて現実とつながっている。すがるような翼の声に、男は頷いた。
「いいよ。翼くんが言うことを聞いてくれるならね」
名乗った記憶がないことも、翼には気にならなかった。約束をとりつけるのに必死の目を向ける翼に男が微笑む。
「じゃあ、全部脱いで」
「えっ?」
「着ている服を全部脱いでよ」
翼の顔がこわばる。しゃがみこんだまま動けなくなった翼に、男がもう一度繰り返す。言葉づかいはそのままだったが、口調は命令に変わっていた。
「言うことが聞けないのか?」
低い声で言われて、翼は泣きそうな顔で立ち上がった。夏が近付き、蒸し暑い部屋の中で、汗と冷や汗の混じった体操シャツを脱いだ。子供らしい腹や胸を無意識に隠しながら、翼はそろそろと体操ズボンを下ろした。日焼け跡の目立つ太ももと真っ白な
ブリーフがあらわになり、翼は立ちすくむ。身体測定の時など、クラスメートの前で同じ姿になるのだが、ちっとも恥ずかしいと思ったことのない。だが、今は男に見られていると思うと悔しいような怖いような、不思議な感覚がよぎる。
「やっぱり翼くんはブリーフなんだね」
近付いてきた男は、翼の太ももを撫で上げた。まだ硬くなっていない筋肉の感触を楽しむように、するすると何度もさすられて、翼の背筋を虫が這うような感覚が走る。
「さ、触らないで」
怯えと嫌悪の混じった声は弱々しい。泣き出しそうな翼に、男の手は太ももの間を這う。膝頭から上がった手は、翼の股の下を何度もこする。
「じっとしてなよ」
ブリーフ越しに敏感な睾丸をこすられて、翼は顔を背けた。丸い小さな尻を撫で回される度に、じわじわといやな汗が吹き出す。
「やめてよお」
小さなペニスはブリーフの上からでも形が分かるほどに握られ、指先でこねられている。涙目で哀願する翼に、男は無表情に命令を下す。
「そのままブリーフも脱いでみてよ」


斜め下から見上げて言う男に、翼はがくがくと震えながら、何とかブリーフに手をかけた。震える手でブリーフを下ろす翼の目からは、涙が零れ落ちた。
「ちょっと臭いね。それにおしっこの色がついちゃってるよ」
畳の上に置いたブリーフを嗅がれ、靴下だけの姿で立つ翼は居たたまれなくなる。暑いはずなのに、パンツを脱いだ頼りなさが薄ら寒い。ピチピチした肌や尻に頬擦りをされるのもいちいち鳥肌が立つようだった。
「やっぱり皮かむってるんだね」
おしっこ以外に使われたことのない小さなおちんちんをじっくりと観察され、尖った先っぽを指先で弄られる。気持ちが悪いはずなのに、ぐにぐにと触られる内に、痛いような熱いような気がしてきて、翼はじっと耐えた。
「翼くん、自分で触ってごらん」
男につかまれた手は、翼自身のドリチンに押し付けられた。ぐりぐりと押し付けられるままに、恐る恐る握る。
「そうじゃないよ、ほら」
絞り上げるように手は動く。根元から先端に摘み上げられる内に、中に芯が通っていくように、熱く硬く膨れ上がっていく。
「ん…ん」
初めての感覚に翼はうっとりした。皮をかぶったままのペニスからは、先走りが垂れている。男が触る度に、翼の腰は軽く動く。
「あんまりこすったら痛くなるよ。ほら、こうやって優しく」
「あ…うぅん」
ゆっくりと強弱をつけられて、翼の口が開く。気持ちよさに閉じていられなくなった唇からは、透明なよだれが滴り落ちた。
「翼くん、ちゅうしてくれたら、もっと触ってあげるよ」
「男どうしなのにそんなことできないよ」
翼は大きく首を振って、ぎこちない手つきで自分のおちんちんを撫でる。だが、未熟な手は快楽とはほど遠く、翼は何度も何度も触る。
「子供だねえ、翼くん。そのうち自分からおじさんにちゅうしたくなるよ。ほら、気持ちいいだろう?」
無謀で稚拙な手淫でも感じ始めたのか、翼のおちんちんはくちゅくちゅ音を立てている。それを包み込んで、男がしごき始めた。待ちかねていた愛撫に、翼の身体はすぐに反応を示してしまう。
「きもちいいよぉ、は…あ…あ…ふう」
翼はすぐに達した。初めての射精液が大量に流れ出し、畳を汚す。翼は息をついて放心する。サッカーばかと言われるほど、サッカーしか知らない翼だが、シュートが決まった時の陶酔感は誰よりも強い。それに近い快楽が頭をよぎって、何も知らない無垢な分だけ、翼は夢中になった。
「翼くんってエッチな子だったんだね。サッカーしてる時はあんなにかっこいいのに」
白濁を太もも全体に広げられる。念入りに汚していく男の指に翼は傷つくが、快楽は止まらない。肌をピンク色に染めて、翼はよだれをたらしながら、手を動かす。
「ほら、もう一回触ってあげるよ」
触ってもらえる喜びに翼は震える。ぷっくりした唇を奪われ、柔らかい手に男の剛直を握らされても、翼の頭には快楽になる。無心に男のチンコをしごき、舌をなめまわされるままに、口を開ける。


「きもちいいよぉ、もっと、さわって」
甘えたように言う翼の身体はいつのまにか男によって、折り曲げられている。人一倍小さいが抜群の回復力で勃起しているペニスは天井を向いたまま指先で挟まれ、無防備な菊花を男の前に晒されている。
「じゃあ、こっちもね」
翼自身の放った精液でぬるぬるになった指先が、排泄穴を弄り始めた。男の太い指にそこをぐりぐりと押されるだけでも翼には不可解なことなのに、それはゆっくりと侵入を始める。
「そんなところ、さわらないで」
翼が足を動かそうともがく。その膝裏のすべすべ感を楽しむように押さえつけながら、男は翼の尻の穴に指を割り込ませていく。既に指先を入れられているだけに、大きくは抗えないまま、翼は異物を受け入れた。
「う…苦しいよ、抜いてええ」
大人の指一本でも、小柄な翼には耐え難い。その指を中で動かされて、翼はうめく。排泄感と異物感があいまって、気持ちが悪い。
「じゃあ、お薬を使うからね」
指二本で、潤滑剤を塗り込められた尻の穴を開かれる。執拗に指をねじ込まれ、かきまわされる。柔軟な子供の粘膜とはいっても、強く収縮している部分を無理に慣らされて、翼は苦痛に動けなくなる。
「エッチな翼くんにご褒美だよ」
「い、いやあああ」
ぶちっと切れる音が聞こえたような気がした。引き裂かれるような初めての痛みに、辛抱強い翼も耐えられず、大声で泣き叫ぶ。
「ぬいてよおお」
めりめりと深く挿入され、翼は悲痛な叫びを上げる。だが、翼の中をえぐる男の凶器は可愛い泣き声に、ますます硬さを増していく。
「いぎいいい」
突かれる度に、翼は悲鳴を上げる。自分の太ももと変わらない成人の極太を受け入れさせられて、いっぱいに広げられた肛門からは血がにじみ出ている。
「これからいっぱい可愛がってあげるからね」
「や、やだよおお、やめてえ」
翼が泣いて頼んでも、この願いだけはかなえられそうになかった。

(END)

節分
バレンタインデー
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