【全日本編】6
 
 



「翼くん」
声をかけられ、揺り動かされて、翼は目を開けた。だが、激しく痛めつけられた下半身が辛くて、 なかなか起き上がれそうにない。
「あ…あ」
上半身を起こした翼は愕然とした。下半身むきだしのまま、翼はベッドのパイプに足をかけられ、高く持ち上げられた姿勢で、縛りつけられていた。バイブは引き抜かれており、キャプテンマークも外されてはいた。だが、翼のちんこは自身の放った白濁液に塗れ、尻の穴には知らぬ痛みがあった。
「翼くんのお尻を映しているんだよ。さっきはテレビのカメラに映されちゃったけどね」
ベッドの足元ではビデオカメラがまわされていた。
「ほら、穴まで拡張しておいたよ」
クスコを押し込まれた翼の肛門はピンク色の粘膜をも覗かせている。
「精液のせいでお腹の調子が良くないみたいだね」
「・・・うう・・・」
内臓まで露出させられるという被虐に加え、開かれた穴に懐中電灯を当てられ、中を照らされる。翼は既に声を出す気力すら失っていた。
「・・・何でこんなことを」
肉体を蹂躙するだけでなく、翼の人間としての尊厳をも奪おうとする意志がそこにはあった。自分がひどい虐待を受けている事実がテレビカメラに撮られたことに、翼はショックを受けていた。
自分で自分を苦しめるような特訓も、辞さない性格の翼である。自分に与えられる痛みや苦しみも、ある程度までは受け入れる能力をその肉体は有していた。だが、自分がよく知る相手に凌辱されているという事実を客観的に認識しては、平然とはしていられない。
混乱する中、必死で言葉をしぼり出した翼に、三杉は静かに笑った。
「まだそんなことが言えるなんてね」
三杉は、事務的な手つきで、翼の穴をこじ開けていた器具を引き抜いた。
「敗者は勝者に従うものだよ。残念ながら」
三杉が取り出したのは、コーラの瓶だった。栓を開け、指で蓋をして、何度も振る。
「まさか…」
「察しがよくなったね、翼くん。…そのまさかだよ」
コーラの口をまだ閉じ切っていない肛門に捩込まれる。その直後、すさまじい奔流が翼の直腸を襲った。
「ああああああっ」
翼がのたうちまわる度に、ベッドごと揺れた。冷たい筈のコーラが熱く感じる程の勢いに、強烈な違和感の後、猛烈に襲ってきた排泄感に、翼は顔を歪めた。
「トイレ、行かせてっ…」
尻をさらけ出されたままの姿勢では、どうしようもない。懇願する翼に、三杉は首を振る。
「それも撮影させてもらうよ」
「!」
翼は人一倍忍耐強い。しかし、その我慢も10分が限界だった。
「肛門がヒクヒク震えてるよ」
「あ…う…」
息を殺し、耐える翼の体には鳥肌が立ち、脂汗がにじみ出ている。その翼の意志を嘲笑うかのように、翼のペニスは超然と屹立していた。
「トイレ…」
「ここでどうぞ」
にべもない三杉の言葉に、翼の目には涙が浮かんだ。どんなことをされても耐えようと、いつしか思っていた翼だったが、人間としての尊厳を失うのには耐えられなかった。
「あ…ああっ」
翼の我慢が限界に達した。ベッドを汚し、人間としての誇りを失う様を撮影されながら、翼はなぜかほっとしている自分に気付いた。

(6・完)

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